基礎編
食品カテゴリーマップ
栄養学を論理的に考えるため、
食品カテゴリーマップが必要です。
上のボタンを押してカテゴリーマップをダウンロードすることをお勧めします。
カテゴリーの特徴は、食品を成分別に分類してあるため、その食品を選択した時点で、栄養の効果が期待できるようになっています。
食品カテゴリーマップの特徴
①三大栄養素の炭水化物(糖質+食物繊維)、
たんぱく質、脂質を機能的に分類
②糖質をインスリンを分泌するものかどうかで分類
インスリンは、三大栄養素すべてを体の必要な場所(特に筋肉)に取り込ませる働きがあるため身体つくりと維持には欠かすことができないホルモンである。
カテゴリー1は、炭水化物としてすぐ思いつくお米、パスタ、うどん、パンなどはデンプンというグルコース(ブドウ糖)の塊であり、このグルコースは、すい臓からインスリンを分泌する働きがある。
果物の甘みの成分の糖質(果糖)は、インスリンをほとんど分泌しないので、カテゴリー6に分類する。
乳製品に含まれる糖質の乳糖もインスリン分泌作用は弱く、カテゴリー4に分類する。
食品カテゴリーマップの解説
米やお餅、小麦などの穀類、さつまいも、じゃがいもなどのいも類、
麺類、かぼちゃ、れんこん、大豆以外の豆類、栗など。
デンプン(グルコースの塊)は脳で利用できる唯一の栄養
カテゴリー1の食品を食べるとインスリンというホルモンが分泌する
A~Eまで分類され、Eに近いほど加工度が高くなる
体重をコントロールするとき2‐A・B・Cで調節.
カテゴリー2は身体つくりのために積極的にとるべき栄養素
カテゴリー3のカロリーはほぼゼロと考え、好きなだけ食べてもよい
野菜に多く含まれる食物繊維を最初に食べる“ベジタブルファースト”
により、脂質を吸着するフィルターの役割をし、脂質の吸収を抑え、
また食後の血糖値の急上昇を抑えることもできる。
身体を大きくしたい、体重を増やしたい時、
また持久力のアップに非常に大きな役割をもつ。
ジュニア選手は積極的にとるべき栄養素
脂肪は身体に悪いわけではなく、
上手に利用すると有効なエネルギー源になる
アボカド、ココナッツオイル、ナッツなども同じカテゴリー
果物も糖質であるが、カテゴリー1とは区別する
実践編
栄養学の実践
食事の定義
3食食事をしたうえで、トレーニングや練習の前後の栄養補給を補食と定義
糖質をとる目安(1日に必要な量)
国際オリンピック委員会による“Nutrition for Athlete”より
6~10g/体重kg/日
・トレーニング時間3時間程度のバスケットボール選手、
体重60kgとした場合: 糖質:360~600g/日
糖質を含む食品表:
日本食品標準成分表2015年版より作表 小清水孝子:臨床スポーツ医学:vol.34,No11,2017 より改編
たんぱく質をとる目安(1日に必要な量)
2~2.5g/体重kg/日
・トレーニング時間3時間程度のバスケットボール選手、
体重60kgの選手: たんぱく質120~150g/日
日本食品標準成分表2015年版より作表
筋肉や骨格など“身体づくり”の栄養
成長期の子供、骨格筋増強したいアスリートには、インスリンをしっかり分泌させるためにカテゴリー1を食事や補食の初めにとる。(炭水化物ファースト=カーボファースト)
インスリンを分泌させることで栄養素を組織に効率よく吸収させるようになる。
骨格筋では、インスリンの分泌があるとたんぱく質が筋肉に取り込まれやすくなる。
身体を大きくする:筋力増強トレーニングの補食
基本:カテゴリー1 → 2 → 3の順で3食しっかり食べる。
インスリンを出して栄養素を取り込むための、“カーボファースト”、“ベジタブルフィニッシュ”
糖質は肝臓内で肝グリコーゲンという形で貯蔵される。
肝グリコーゲンが足りなくならないように炭水化物を先に食べ、野菜を最後に食べる。多めにカテゴリー1をとり、できれば食事と食事の間を6時間以上空けない。
食べ方の実際
筋力トレーニング終了後、カテゴリー1 (おにぎり1個)食べる。
インスリンの分泌を待って(できれば30分くらい後に)カテゴリー2のたんぱく質(サラダチキン、ちくわなどの練り物、豆乳など)をとる。もしくはプロテイン(ホエイプロテイン)をとる。
筋力トレーニングの補食としてのたんぱく質を摂る目安
・たんぱく質摂取目安=
たんぱく質2.0gx体重÷24時間x運動時間
・体重60kg選手の場合 たんぱく質摂取目安=
たんぱく質2.0gx60kg÷24時間x運動時間=5gx運動時間
骨形成のための栄養:骨成長、骨折後の食事のヒント
基本:カテゴリー1 → 2 → 3の順で3食しっかり食べる。
筋力トレーニング終了後、カテゴリー1 (おにぎり1個)食べる。インスリンの分泌を待って(できれば30分くらい後に)カテゴリー2のたんぱく質(サラダチキン、ちくわなどの練り物、豆乳など)をとる。もしくはプロテイン(ホエイプロテイン)をとる。
骨形成を促すホルモン(GIP: Gastric Inhibitory
Peptide)の分泌量を増やすことが不可欠。
ブドウ糖をカテゴリー1からとり、飽和脂肪酸をカテゴリー2E、4、5(肉や乳製品などの動物性脂肪やココナッツ油など熱帯植物由来の油脂)からとることにより、GIPを分泌させる。
特に朝食時や昼食時に、これを意識し食事をとることが必要となる。
最高の状態で勝負するために
インスリンを出して栄養素を取り込むための、“カーボファースト”、“ベジタブルフィニッシュ”朝、昼、夕の3食の脂質の食事量を増やす。
試合前日
カテゴリー4を食事に加え、間食としてもとる。
試合当日
試合の4時間前にカテゴリー4、5を食べる。
試合の1~4時間前にカテゴリー5を食べる。
試合のハーフタイム中にカテゴリー4、5、6を食べる。
・最後まで走り抜けるよう、脂質と果糖をエネルギー源として利用。
2試合あるとき、試合と試合の間の捕食
インスリンを分泌させない糖質(カテゴリー6)とカテゴリー5をとり、糖質と脂質をエネルギー源として使用する。
カテゴリー2あるいはプロテインをとる。
・たんぱく質の目安=
たんぱく質2.0gx体重÷24時間x最大2時間
・60kgの選手の場合 たんぱく質摂取目安=
たんぱく質2.0gx60kg÷24時間x最大2時間=10g
身体の血のめぐりをよくして、体のすみずみまで栄養が行き渡るようにすること。
肝グリコーゲンが足りなくなり、代謝の低下を引き起こさないこと。
練習の日の栄養
基本:カテゴリー1 → 2 → 3の順で3食しっかり食べる。
・インスリンを出して栄養素を取り込むための“カーボファースト”、“ベジタブルフィニッシュ”(炭水化物を先に食べ、野菜を最後に食べる)
食間にカテゴリー4を補食し、昼食にカテゴリー6を加えるようにする。
運動前の捕食
運動直前でエネルギーを補給したい
・インスリンの分泌されない糖質のカテゴリー6をとる。
・これによりグリコーゲンの量を維持でき、骨格筋が分解されエネルギーとして使われることも防げる。
カテゴリー6の果糖(100%ジュースや果物)とカテゴリー2の豆乳やプロテイン
・たんぱく質の目安=
たんぱく質2.0gx体重÷24時間x最大2時間
・体重60kgの選手の場合
たんぱく質2.0gx60kg÷24時間x最大2時間=10g
運動中の捕食
エネルギーを円滑に供給する
・果糖と脂質をエネルギー源として使用
・カテゴリー6の果糖(100%ジュースや果物)とカテゴリー5をとる。
運動により消費した肝臓内・筋肉内のグリコーゲンの補給、筋アミノ酸の補給
筋力トレーニング終了後、カテゴリー1(おにぎり1個)食べる。
インスリンの分泌を待って(できれば30分くらい後に)カテゴリー2のたんぱく質(サラダチキン、ちくわなどの練り物、豆乳など)をとる。もしくはプロテイン(ホエイプロテイン)をとる。
・筋力トレーニングの補食としてのたんぱく質を摂る目安=
たんぱく質2.0gx体重÷24時間x運動時間
・体重60kgの選手の場合
たんぱく質2.0gx60kg÷24時間x運動時間=5gx運動時間
カテゴリー3でベジタブルフィニッシュ(野菜ジュースも可)